
五葉松(Pinus parviflora var. pentaphylla)、模様木仕立て、樹齢約50年、イタリア・ペーシャ盆栽美術館蔵。/Photo by Sailko, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons — Source
盆栽をまったく知らない人に「盆栽の木」を記憶だけで描いてもらうと、幹をまっすぐに描く人はほとんどいません。たいてい一度、あるいは二度、緩やかに傾き、そしてまた上のほうでまっすぐに戻ります。その何気ない一枚の絵は、すでに以前紹介した盆栽の基本の樹形の中で、もっとも多くの人が「盆栽」と聞いて思い浮かべる型として紹介した、模様木(もようぎ、「informal upright」)にかなり近いものになっています。
模様木とは、多くの人がすでに「盆栽」として思い浮かべているS字の幹です。自然の木が実際に育つ姿にとても近いからこそ、でたらめにも、乱雑にも見えないように保つには、確かな規律が求められます。
一度たりとも同じ曲がりを繰り返さない幹
言葉にすると、規則と呼ぶのもためらわれるほど単純です。幹は曲がり、また逆に曲がり返しながら、根張り(ねばり、「surface roots」)から頂点まで、まっすぐな一直線になることなく立ち上がっていきます。この型は「緩やかなS字」という一言でまとめて語られることも多い一方で、木の高さの中に二、三カ所の明確な曲がりとして説明されることも少なくありません。動きとして感じられる程度に曲がり、目が線を見失うほどには曲がらない、そのぎりぎりの分量です。それぞれの枝は、曲がりの内側ではなく外側から生えます。布が曲がった竿に沿うように、曲がりに沿って枝が出るのです。曲がりの内側に枝を置き、曲がりが開こうとしている空間を塞いでしまうことは、模様木を生き生きとした姿ではなく、不格好な姿に見せてしまう、もっとも早い失敗のひとつです。枝がどのように順序づけられ、間隔を保って配置されるかは、それ自体がもう少し踏み込んだ別の主題です。ここで大切なのは、枝が曲がりに逆らうのではなく、曲がりに応えているという一点だけです。
どの樹形(じゅけい、「tree form」)もそうであるように、この線は一度に曲げて仕上げるものではなく、何度もの季節をまたいで針金をかけながら、少しずつ作られていきます。ひとつの曲がりを固定し、それが定着するのを待ってから、さらに上の位置に次の曲がりを加える。模様木の姿は、一文を書くように作られていきます。ひとつの節が、その前の節との関係の中でしか意味を持たないのと同じように。
もっとも自然の育ち方に近い樹形
なぜ模様木は、ほかのどの型よりも多く仕立てられるのか。盆栽の指導でくり返し語られる答えは、好みではなく観察に基づいています。それが、野外で育つ普通の木の姿にもっとも近いからです。実生の木がまっすぐに育つことは、めったにありません。光のある方へ傾き、風に押され、隣の枝に押しのけられ、その障害を越えるとまた姿勢を戻す。遠くから見れば、この小さな修正の積み重ねが、事故の連続ではなく、緩やかな曲線として目に映ります。直幹は、こうした来し方をほとんど見せない幹を求める型です。模様木は、それをわずかに残した素材——ごく普通の苗木や、若い松、目立った一本の大きなうねりを持たない採取木——から仕立てられます。だからこそ、より厳格な直幹ではなく模様木こそが、栽培されている盆栽の多くが最終的に向かう先になっているのです。
動きの中に保たれる均整
模様木を、ただの曲がりくねった棒に見せないでいるのは、その曲線そのものに逆らう一つの規則です。幹がどれだけ多くの曲がりを重ねて立ち上がろうとも、頂点は必ず根張りの中心の真上に収まらなければならず、それによって木は倒れかけているのではなく、立っているものとして読み取られます。これは、まっすぐな幹よりも保つのが易しい均整ではなく、むしろ難しい均整です。直幹の垂直な線は、この仕事を自動的にこなしてくれます。模様木は、幹が何度も垂直から外れていくその道すじの途中で、同じだけの安定感を、自分の手で獲得しなければなりません。この語彙の中で模様木の両隣に位置する型と比べても、これは厳しい規則です。懸崖は、この規則そのものを手放し、幹を鉢のふちより下まで落としてしまいます。吹き流しの幹は、すべての枝を一方向へ押しやったまま、二度と中心に戻ることはありません。模様木は、この規則を保ったまま、その内側で仕立てます。曲がるたびに動きが生まれ、そのたびに、目が頂点にたどり着くころにはまた均整へと収束していくのです。
なぜ盆栽の基本の型として教えられるのか
模様木は、もとからこの方向に育とうとする素材を使って仕立てられ、その均整を見極める力はそのまま、ほかのどの型を判断する力にもつながります。だからこそ、初心者が最初に手をかけるのは、たいてい模様木です。S字の頂点が、自分自身の根張りの真上に正しく収まっているかどうかを見分けられる生徒は、直幹のまっすぐさや懸崖の落ち方を判断するために必要な力の大半を、すでに身につけていることになります。逆は、必ずしも成り立ちません。「基本の型」という言葉がここで意味しているのは、模様木が仕立てやすいということではなく、動く線に対して均整を読み取るという、樹形すべての土台にある文法を、まず教え、もっとも頻繁に練習する場が模様木だということです。樹種の選び方も同じ論理に従います。松、真柏、楓、欅などがよく模様木で仕立てられるのは、この型がどれか特定の樹種にとりわけ向いているからというより、幹がより厳格な型を強く示唆していない限り、模様木がその木の向かう既定の型になるからです。以前「型」について書いた記事でも触れたように、模様木という固定された構造があるからこそ、一人ひとりの作り手が仕立てた幹の違いが見えてきます。同じS字の規則に、十本の異なる木が従っても、そこにはやはり十本の異なる木が残るのです。
結び
模様木は、一つの文が完結するようには完結しません。季節ごとに、すでに何年分もの曲がりを背負った線の先端へ、わずかな新しい成長が加わっていきます。その仕立てを引き継ぐ作り手は誰であれ、前の作り手と同じ課題を受け継ぐことになります。いまある曲がりがどこへ向かおうとしているかを読み、均整が崩れずに保たれるよう、次の枝や幹の伸びを加えること。以前触れた、盆栽は完成しないという考え方を、一本の具体的な線に、曲がり一つひとつの単位で当てはめたものだと言えます。Azukariは、この読み取りが途切れないよう保つ仕組みです。木の仕立ては日本で、同じ線を季節ごとに追い続ける作家のもとで続けられ、離れた場所にいる所有者は、完成した形ではなく、続いていくその記録に加わります。仕立ての途上にある模様木は、盆栽が完成された形というより、一曲がりずつ保たれ続ける均整そのものであることの、もっとも分かりやすい証です。
参考リンク
- Bonsai Society of Greater Cincinnati「Informal Upright 'moyogi' or 'tachiki'」 — 模様木の幹の緩やかなS字、曲がりの外側に枝を配置する原則、根元の真上に収まる頂点についての解説。
- Wikipedia「Bonsai styles」 — 幹の曲がりを見せながらも頂点が幹の根元の真上に固定される、模様木(informal upright)の定義と、直幹(formal upright)との対比。
- Bonsaiable「Informal Upright Bonsai Fundamentals」 — 模様木が自然界で風雨にさらされて育つ木の姿に近いことと、この型で仕立てられる針葉樹・広葉樹の樹種についての解説。
- Bonsai Today「Moyogi (Informal Upright Style)」 — 盆栽の中でもっとも多く仕立てられる型としての模様木の位置づけと、自然の風雨による木の育ち方との関係についての解説。
- Wikipedia「Pinus parviflora」 — 五葉松の分類について、北日本に分布する変種 var. pentaphylla が、かつてハインリヒ・マイヤーによって独立種として記載されていた経緯を含む解説。