
アキニレ(Ulmus parvifolia)、株立ち仕立て、樹齢約100年、中国産、イタリア・ペーシャ盆栽美術館蔵。/Photo by Sailko, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons — Source
盆栽の幹の多くは、一本の線に従います。根元が一つ、幹が一つ、頂点が一つ。ところが株立ち(かぶだち、「clump」、より直訳すれば「株が、立つ」)に仕立てられた木は、この決まりを根元から覆します。三本、五本、時にはそれ以上の幹が、一つの根の塊——見た目にも、構造としても——から共に立ち上がり、一本の木でありながら、一目には数本の木のように見えるのです。株立ちは、以前紹介した盆栽の基本の樹形で触れた、複数の幹・複数の木を使う型の一つで、それだけで一つの記事に値する型です。
株立ちとは、一つの根株から複数の幹を立ち上げ、一本の木でありながら、一目には小さな木立のように見せる仕立て方です。
一つの根、複数の幹
株立ちを定義づけるのは、見た目である前に、まず構造です。すべての幹が、同じ根元と同じ根の塊を共有しています。鉢から抜けば、根の塊は一つしかありません。この一点が、株立ちと近縁の型とを分けています。双幹(そうかん、「twin trunk」)は、同じ発想を二本の幹に絞ったもので、一本が高く主となり、もう一本が低く従います。これに対して寄せ植え(よせうえ、「forest planting」)は、まったく異なる方法で似た賑わいを作ります。それぞれ独立した根を持つ複数の木を、一つの鉢に寄せて森の印象を作る仕立てです。株立ちは、見た目としてはいつも群れに見えますが、園芸としての厳密な意味では、あくまで一本の木です。
一鉢に収める小さな林
株立ちが目指す効果は、寄せ植えの森が目指す効果と同じ、一鉢の中の小さな林です。ただし、そこにたどり着く論理が違います。寄せ植えは、手前に高い木を、奥に低い木を配置することで、意図的に奥行きの錯覚を組み立てます。株立ちの幹は、一つの狭い点から立ち上がっているため、同じ方法で奥行きを演出することはできません。代わりに、高さと太さの違いが奥行きの役割を担います。もっとも高く太い一本が主となって頂点を形づくり、残りの幹は、親となる幹から分かれた二次的な枝のように、順を追って小さくなっていきます。幹の本数は奇数——三本、五本、七本——が好まれる傾向にあります。偶数だと、群れというより対に見えてしまうためです。そして全体は、小さな樹冠がばらばらに散らばる姿ではなく、一つにまとまった輪郭へと仕立てられます。
広葉樹に多い理由
株立ちは、もともと盆栽のために考案された仕立て方ではありません。自然界では、伐採されたり倒れたりした広葉樹の株から新しい芽が伸びる現象がよく見られます。日本語で萌芽更新(ぼうがこうしん、「regrowth by budding」)と呼ばれる現象で、雑木林の管理でも古くから利用されてきた、木の性質です。そのうちの数本が生き残り、何年もかけて自分自身の幹へと育ちながら、もとの根を分け合い続けます。だからこそ株立ちは、以前紹介した盆栽の五つの樹種の系統で触れた雑木(ぞうき、「miscellaneous trees」、落葉広葉樹を指す語)——楓、欅、シデ、楡など——で作られることが多く、切り株からこれほど旺盛に芽吹くことの少ない松柏類には、あまり見られません。日本の仕立てには、もう一つ、より早く仕立てられる方法もあります。数本の若い苗木を根元で寄せて癒着させ、一つの株に見せる寄せ株立ち(よせかぶだち)という技法です。ただし、より価値が高いとされるのは、切り株から芽吹いた株立ちのほうです。すべての幹が一つの起点につながっていることを示す、途切れない根張り(ねばり、「surface roots」)が、そこに残るためです。
群れの調和を読む
出来の良い株立ちは、一本一本の幹よりも、幹どうしがどう空間を分け合っているかで判断されます。それぞれの幹が、隣の幹の葉を押しのけることなく自分の葉を保てるだけの間隔が必要で、外側の幹はたいてい、本物の林の縁に立つ若木のように、わずかに外へ傾きながら自分の光を求めます。隣り合う幹どうしが向き合う側の枝ぶりは低く開けて仕立てられ、いくつもの小さなドームがぶつかり合うのではなく、一つの続いた樹冠として編み込まれます。良い株立ちかどうかを見分ける目安は、遠くから見たときに一本の木として成立し、近づいて初めて複数の幹に分かれて見えるかどうかです。まず調和、その次に複数性、という順番です。
結び
同じ発想は、盆栽の鉢を離れ、日本の庭にも見られます。ヤマボウシ、ヒメシャラ、ソヨゴといった株立ちの庭木は、玄関先や、奥行きの限られた現代の庭に好んで植えられます。何本もの細い幹のほうが、一本の太い幹よりも軽やかで圧迫感が少なく、林の縁に立つ若木の姿に近いためです。株立ちを手入れする作り手は、いわば、一つの根を分け合う複数の木の生育を、季節ごとに同時に見ていることになります。どの幹も、ほかの幹の光を奪うほど優遇してはいけません。Azukariがこうした木を日本の作家に託しているのは、この均衡が一度きりの判断ではなく、続けて保たれるべきものだからです。一季節でも手を離せば、一本の幹がほかを覆ってしまうことがあります。季節ごとの記録は、何よりもまず、その均衡がまだ保たれていることの確認なのです。
参考リンク
- Bonsai Society of Greater Cincinnati「Clump 'Kabudachi' or 'Kabubuki'」 — 株立ちの定義、三本以上の幹が根を共有する構造、寄せ植えとの違いについての解説。
- Bonsai Empire「Bonsai Styles」 — 株立ちが一つの根系から複数の幹を立ち上げる型であること、寄せ植えが独立した木を寄せる型であることの確認。
- Bonsai Bark「Clump Style Bonsai: Multiple Trunks with a Single Root System」 — 株立ちの自然界での成り立ちと、よく使われる樹種についての解説。
- Wikipedia「株立ち」 — 萌芽更新による株立ちの自然な成り立ち、本株立ち・寄せ株立ちという仕立て方の違い、日本の庭木として使われる樹種についての記述。