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AZUKARI

寄せ植えという森

欅の寄せ植え盆栽。高さの異なる複数の幹がひとつの浅い鉢に配されている

欅(けやき、Zelkova serrata)、寄せ植え仕立て、樹齢約40年、イタリア・ペーシャ盆栽美術館蔵。/Photo by Sailko, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons — Source

一本の盆栽は、どれほど古くても、ひとつの鉢に立つ一本の木にすぎません。寄せ植え(よせうえ、「gathered planting」)は、以前紹介した盆栽の基本の樹形のひとつで、その常識に別の問いを投げかけます。もし鉢の中に収められるのが、一本の木ではなく、ひとつの森だったらどうだろうか、という問いです。

寄せ植えとは、通常ひとつの樹種・奇数本の別々の木を、ひとつの浅い鉢に寄せて植える樹形です。見る人の目には、五本や七本の個々の幹ではなく、ひとつづきの森として映ります。

複数の木を、ひとつとして見せる

寄せ植えは、手元にある木を無作為に集めたものではありません。作り手はふつう奇数本で構成します。五本、七本、大きな作品ではさらに多くなることもあります。偶数だと目が二つずつのペアに分かれて見えてしまう一方、奇数はひとつの非対称なまとまりとして落ち着くためです。多くの作品は樹種をひとつに統一します。同じ樹皮の質感、同じ葉の大きさと色をすべての幹で繰り返すことで、見る人の目には、無関係な木の並びではなく、ひとつの生態系のように映ります。楓(かえで)、杜松(としょう)、黒松、そして写真の欅は、いずれもよく選ばれる樹種です。若く比較的細い苗木を数多く揃えやすく、森が求める細かく密な小枝の輪郭にも早く仕立てられるという理由もあります。

主となる木と、それに従う木々

寄せ植えはすべて、主木(しゅぼく、「the leading tree」)を軸に構成されます。これは盆栽の用語で、一つの構成の中でもっとも目立つ位置を与えられる木を指し、席飾りにおいてどの木を中心に据えるかを決める考え方と同じものです。森の仕立てでは、通常もっとも高く太い幹が主木となり、鉢の中心ではなく、端からおよそ三分の一ほど入った位置にずらして置かれます。残りの木々は、その周りに高さと太さを段々に落としながら、直線や升目状ではなく、ゆるやかで不揃いなまとまりとして配置されます。木を一直線に並べてしまうと、森としての説得力は一瞬で失われます。本物の森は、隊列を組んでは育たないからです。作り手は木を配置しながら正面からも確認し、それぞれの幹が後ろの幹と重ならないよう気を配ります。正面から見たときに、二本の幹が一本の混乱した線に重なって見えないようにするためです。

わずかな土の中に折りたたまれた遠近法

寄せ植えが解決するもっとも難しい課題は、水を張るのがやっとの浅さしかない鉢の中に、奥行きを作ることです。距離の作り方は、画家が絵の中に距離を作るのとよく似ています。もっとも高く太い幹を手前に、少しずつ小さく細い幹を奥や両脇に下げていくことで、大きさの違いそのものが遠近感の代わりを果たします。鉢の手前は奥に比べて開けたままにしておくのが一般的です。幹の壁ではなく、ひとつの空き地として残すことで、目が森の中へ入っていく道筋ができ、実際に見えている範囲の先にも地面が続いているという感覚が強まります。土の表面もあえて平らにはしません。わずかな盛り上がりやくぼみが、本物の森の不揃いな地面を思わせます。枝は群れの内側ではなく外側へ向けて仕立てられ、どの角度から眺めても、幹と幹のあいだに絡まりではなく開けた見通しが残るようにします。これらはどれも、鉢そのものの大きさを変えているわけではありません。変えているのは、その大きさについて目が信じようとするものです。

一本の木では持ち得ない眺め

一本の盆栽は、どれほど古く、どれほど丁寧に仕立てられていても、一本の幹の歴史を見せるにすぎません。寄せ植えが見せるのは、一本の木には決して持ち得ないものです。幹と幹のあいだの空間、光や、そこを抜けていくように感じられる風、一本の木ではなく、ひとつの場所としての手触りです。それは肖像というより、風景に近いものです。丹念にねじられた一本の幹がうながす近い観察というより、道を歩きながら横目に見る、少し離れた景色の気配に近いものです。木から情景へというこの転換こそが、この樹形が存在する理由そのものです。

株立ちとは違うもの

寄せ植えは、株立ちと混同されやすい樹形です。どちらも、ひとつの鉢から複数の幹が立ち上がって見えるためです。違いは土の下にあります。株立ち、あるいはそれに近い双幹(そうかん、「twin trunk」)や三幹(さんかん、「triple trunk」)といった型では、すべての幹がひとつの根から育っています。生物学的には一本の木が、地上ではなく地中で枝分かれしているにすぎません。寄せ植えはその逆です。それぞれの幹が、自分自身の根を持つ別々の木であり、それらが鉢の中でひとつのまとまりとして見えるほど近くに植えられているだけです。株立ちは、枝分かれの仕方を覚えた、ひとつの生き物です。寄せ植えの森は、鑑賞されるあいだだけ、ひとつとして見られることに同意した、複数の生き物です。

結び

寄せ植えを構成するとき、作り手は一本の幹の個性よりも、群れ全体の釣り合いを考えることになります。一本の木の高さが、他の六本の縮尺をどう決めるか。二本の幹のあいだの隙間が、幹そのものと同じくらい重要な意味を持つこと。その意味で、寄せ植えは一つのものを仕立てるというより、ひとつの部屋を整えることに近い作業です。Azukariが扱う木の多くは一本ずつの個体として育てられていますが、その根底にある規律は、ほかのどんな樹形とも変わりません。早い段階で決められた形を、何年もかけて保ち続け、鉢の中のすべての木をひとまとまりとして見なければ正しく読み取れない仕事を、一人の作家が担い続けています。ひとつの森が鉢の中でどう組み立てられているかを知ることは、結局のところ、という考え方が作り手に何を求めているかを知ることでもあります。装飾ではなく規律によって満たされる、ひとつの決まった構造です。

参考リンク

  1. Bonsai Empire「How to create a Bonsai forest / group planting」 — 木の本数を奇数にするという原則、もっとも大きな木を鉢の中心から少しずらして置く配置、残りの木を並べる際に列を避けるべき理由についての解説。
  2. Bonsai Society of Greater Cincinnati「Forest Group Plantings 'Yose-ue'」 — 奇数本という慣例、樹種を統一する理由、幹の高さと太さを変えることで距離の錯覚を作る手法についての解説。
  3. Bonsai Learning Center「Forest Bonsai (Yose-ue): Designing a Living Woodland」 — 手前から奥へ木の大きさを変える階層構造、手前を開けておく配置、土の高低差、枝を外向きに仕立てることで奥行きを作る手法についての解説。
  4. Wikipedia「Bonsai, 'Styles'」 — すべての幹がひとつの根系を共有する株立ち系の樹形と、複数の独立した根を持つ木を組み合わせる寄せ植え・group planting との違いについての記述。
  5. コトバンク「主木(しゅぼく)」 — 構成や席飾りの中でもっとも目立つ位置に置かれる木を指す盆栽用語としての「主木」の定義。
盆栽寄せ植え樹形盆栽の型Azukari