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盆栽園という場所

さいたま市大宮盆栽村の盆栽園。木製の棚に並ぶ松の盆栽

さいたま市・大宮盆栽村にある、ある盆栽園の作業場。松が棚に並び、値札もそこここに見える。展示の場である前に、まず生産の現場です。/ Photo by Guilhem Vellut, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons — Source

盆栽園とは何かと聞かれたら、多くの人が思い浮かべるのは「店」でしょう。門があり、値札のついた木が並び、買って持ち帰る場所。けれど実際にそこにあるのは、店というより工房と預かり所を足したような光景です。長い棚に、まだ途中の木が何本も並んでいて、しかもその多くは、訪れた人が仕上げるべき木ではありません。

盆栽園(ぼんさいえん)とは、何百本もの木を生かし、季節ごとに少しずつ良くしていくための場所です。そして、その日その棚にある木の少なくない部分は、その場にいない誰かの持ち物です。

店ではなく、育てる場所

ふつうの盆栽園に足を踏み入れて最初に気づくのは、ショールームらしさの薄さです。敷地の大半は、置き場がすべてでも触れた棚場(たなば)や、若木を育てる温室や苗床、道具と針金、サイズごとに積まれた鉢の並ぶ作業コーナーに占められています。お客に見せるために仕立てられ、写真を撮られている木は、たいてい、その盆栽園が実際に育てている木全体のごく一部にすぎません。

規模を大きくして見ると、この構図はさらにはっきりします。香川県の鬼無(きなし)は、日本でも歴史の長い盆栽の産地のひとつで、250年を超える栽培の歴史があり、国内の松の流通のかなりの部分を占めるとも言われます。ここにはおよそ100の園が軒を連ねていますが、実際に「高級」と目されるのは、そのうち十数園ほどにすぎません。素材を単に増やすだけでなく、本当に質の高い盆栽に仕立て上げられる園は限られているということです。つまり盆栽園は、ひとつの型に収まるものではなく、大量生産的な育成から、何十年もかけた個別の仕立てまで幅のある営みです。そのどの地点にも共通しているのは、販売カウンターではなく、育てる現場だという点です。

棚の木は、売り物とは限らない

棚をよく見ると、もうひとつの事実が見えてきます。すべての鉢に値札がついているわけではありません。木のすべてが園のものとは限らないからです。他人の持ち物である木を預かり、剪定や針金かけ、植え替えをし、あるいはただ一時期安全に置いておく。これは日本の盆栽園にとって、ごく当たり前の仕事です。さいたま市の大宮盆栽村にある六つの庭園のひとつ、清香園は、剪定整姿や針金成形、植え替えといった手入れのメニューに加え、最長一か月までの一時預かりを行っており、料金は日本盆栽協同組合の定める目安に沿って決められています。大阪近郊の藤川光華園はこの発想をさらに進め、購入した木をそのまま園に置いたまま、月ごとの手入れ契約のもとで管理を続けることができます。木の状態は写真や動画で節目ごとに持ち主へ伝えられ、希望すれば持ち主に代わって展示会へ出品することもできます。

これは特別なことではありません。所有者と、実際に剪定バサミを握る人とのあいだにある「預かり」の関係。以前の記事で樹齢百年の木を預ける文化として書いたものの、日常的な姿がここにあります。日本の盆栽園の棚に並ぶ木は、訪れた人が思う以上に、誰か別の人の、いまも続いているプロジェクトであることが多いのです。

園主の目が、園の格を決める

盆栽園が規模や在庫の量で決まるものでないとすれば、鬼無の百近い園のうち、なぜあの十数園だけが高級と見なされるのでしょうか。多くの場合、それは数値化しにくいひとつの資産、つまり園を営む人の「目」に行き着きます。まだ形になっていない素材のどれが、職人の何年もの手間をかける価値があるのか。持ち主の木を、どの弟子になら任せられるのか。今年はもう一度剪定バサミを入れるより、木を休ませたほうがよい時期に来ているのかどうか。

この「目」は多くの場合、買って得るものというより、受け継ぎ、身につけていくものです。大阪府池田市の藤川光華園は1950年の創業で、今日では西日本有数の規模を持つ盆栽園として知られ、現在は二代目の園主が営んでいます。世代が代わったからといって、園の評価がゼロに戻るわけではありません。最初の評価を築いた「目」は、棚とともに次の代へ受け継がれています。置き場がすべてという記事で触れた「経験を積んだ目が、剪定バサミより先に棚を確かめる」という話も、根は同じです。盆栽園における本当の商品は判断そのものであり、それは完成した木に表れるよりずっと前に、日々の選択のなかに表れています。

「買う場所」から「関わる場所」へ

こうして見ていくと、盆栽園は売り場というより、人が何年にもわたって通い続ける場所に近く見えてきます。日本の盆栽の産地の中には、これをはっきりと制度化しているところもあります。大宮盆栽村の一園、藤樹園は1966年から一般向けの盆栽教室を続けており、一度きりの購入で終わるはずだったものを、その場に通い続けられる場へと変えています。藤川光華園で購入した木を月ごとの手入れ契約のもとに預ける持ち主も、規模は違えど同じことをしています。木を買ったあとも、盆栽園とのつながりが続いていくのです。

「一度買う場所」から「関わりを続ける場所」への、この移り変わりは、宣伝文句として作られたものではありません。木を自分の手では育てられない持ち主が、それでもずっと以前から一定数いた以上、日本の盆栽園はもともとそのように動いてきたと言うほうが近いでしょう。Azukariは、この既にある当たり前の形——棚の上の一本の木、季節ごとにそれを確かめる作家、どこか別の場所からその記録を受け取る持ち主——を、誰もが加われる仕組みに置き換えたものです。盆栽園の中で実際に行われていることは、もともと売買が主役ではありませんでした。主役は、いつもその棚に戻ってくる人のほうだったのです。

参考リンク

  1. 藤川光華園「Overseas Buyers」 — 購入後の木を園で管理し続ける月ごとの手入れ契約、写真・動画による報告、希望による展示会出品について。
  2. 藤川光華園 公式サイト — 1950年の大阪府池田市での創業、西日本有数の盆栽園としての位置づけ、現在の二代目園主について。
  3. Bonsai Empire「Japanese gardens and Bonsai in Japan」 — 香川県鬼無の約250年の栽培史と松の市場シェア、およそ100園のうち高級とされるのが十数園である点、大正園の運営と海外からの研修生受け入れについて。
  4. 清香園「盆栽メンテナンス」 — 顧客の盆栽に対する剪定整姿・針金成形・植え替えといった手入れサービスと最長一か月の一時預かり、日本盆栽協同組合の目安に基づく料金設定について。
  5. 大宮盆栽村「庭園紹介」 — 村内の六つの庭園と、1966年から続く藤樹園の盆栽教室、1943年創業の清香園について。
  6. Wikimedia Commons — File: Bonsai nursery @ Omiya Bonsai Village (13593836174).jpg — ヘッダー画像の出典とライセンス(CC BY 2.0、撮影者 Guilhem Vellut)。
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