日本語EN
AZUKARI

検疫という高い壁

1936年から仕立てられてきた黒松の盆栽。国立盆栽・盆景博物館にて展示

Photo by Sarah Stierch, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons — Source

どの国の政府も、木が美しいかどうかを問う前に、その木が危険なものを運んでいないかを問います。この順序は、盆栽という芸術に対する役所仕事的な無関心とは関係がありません。それは、盆栽が国際的な関心の対象になるずっと前から築かれてきた植物検疫という仕組みそのものであり、根を張ったあらゆる植物が国境を越えようとするとき、その価値にかかわらず適用されるものです。

**日本を出る盆栽は、ひとつの検査を通ればよいわけではありません。いくつもの検査を順番に通過します。まず日本側の輸出検査、そして受け入れ国が求める検査が続き、樹種によっては、輸出に応じてもらう前提として何年もの登録苗場での栽培が求められることもあります。**旅の終わりに旅行者が抱くもっと単純な疑問――盆栽は日本から持ち帰れるのか――の背後にあるのも、この壁です。その仕組み自体を知っておく価値があります。

盆栽のためではなく、先に築かれていた仕組み

この背景にある国際的な枠組みは、多くの人が思うより古いものです。国際植物防疫条約(IPPC, International Plant Protection Convention, "植物の病害虫拡散を防ぐための国際条約")のもとで、1951年に署名され、現在では180か国を超える政府が参加するこの条約により、各国は植物の病害虫が国境を越えて広がるのを防ぐための措置を協調して行うことに合意しました。これは貿易業者への配慮ではなく、互いの農業と森林を守るための共同防衛です。盆栽がどの国であれ最終的に直面する検疫規則は、すべてこの基本合意にさかのぼります。

日本側では、生きた植物を輸出する手続きは、農林水産省のもとにある植物防疫所から始まります。輸出者は、植物の種類・数量・仕向地を記載した輸出検査申請を提出します。主要空港に置かれた事務所と各地の出張所からなる植物防疫所の職員が、仕向地の求める条件に照らして実際の植物を検査したうえで、植物検疫証明書を発行します。この証明書は、木が清潔な状態で日本を出たことを保証する日本側の署名にすぎません。入国を保証するものではないのです。到着後どうなるかは、受け入れる国が完全に決めることであり、農林水産省自身のガイドも、思い込みで動かず、仕向地の最新の条件を確認するよう輸出者にはっきり求めています。規則は病害虫リスクの変化に応じて改定されるからです。

実際に時間がかかっているのはどこか

「最新の条件」がどれほど厳しくなり得るかを最もよく示しているのが、EU(欧州連合)による黒松(kuromatsu, 黒松, Pinus thunbergii)の盆栽の扱いです。欧州食品安全機関(EFSA, European Food Safety Authority)が審査した特例措置のもとでは、黒松の盆栽は検査を受けてそのまま出荷というわけにはいきません。まず、日本の当局に登録され、年におよそ6回の検査を受ける苗場で、地面から少なくとも50センチ高いコンクリート台の上に置かれた状態で、最低2年間栽培されている必要があります。用土は90度で30分以上の熱処理による消毒を受けた代替土でなければならず、苗場に置かれている間は毎年、新しく消毒した用土に入れ替えられます。出荷前には根を完全に洗って土を落とし、最後にもう一度、消毒済みの用土に植え替えます。EUに到着したあとも、木はさらに最低3か月、到着後隔離施設で過ごし、そこで少なくとももう2回検査を受けます。

これらはいずれも、難しくすること自体が目的ではありません。EFSAの評価では、日本産の黒松盆栽が運んでいる可能性のある19種類の病害虫が検討の対象になりました。そのひとつが、マツ材線虫病(まつざいせんちゅうびょう)を引き起こすマツノザイセンチュウ(matsuzai senchu, 松材線虫, "pine wood nematode", Bursaphelenchus xylophilus)です。EPPO(欧州・地中海植物防疫機関)のデータベースによれば、この線虫はすでに日本の松林に広く定着している一方、EU域内ではポルトガルとスペインの一部に限られた形でしか定着していません。この地図を見た規制当局が、日本のモミジと日本の松を同じようには扱わないのには、まっとうな理由があるということです。リスクは、木ごと、国ごとに買い手が思うほど一様ではありません。

「不可能」が正直な表現になることもある

ここで、このテーマ全体を貫く四つ目の軸――輸出できる木と、事実上輸出できない木がある――が、単なる修辞ではなくなります。EUのこの規則にある「2年」という登録苗場での時計は、まさにこの仕様どおりに建てられ検査を受けている施設で木が育ち始めた瞬間からしか動き出しません。ふつうの苗場で、ふつうの作家のもとで育ってきた黒松は、海外の買い手が現れたその週に急いで登録されるようなものではありません。規則が求める何年分もの栽培記録が、あらかじめ存在していなければ、その経路自体が存在しないのです。その記録を持たない木にとって、「理屈のうえでは可能だが、実際には存在しない」ということと「輸出できない」ということは、ほとんど同じ意味になります。ある国の植物検疫当局が、個別の例外を作るのではなく、ある種の植物をまとめて受け付けないという判断をする理由のひとつも、ここにあります。「輸出できる木 できない木」では、これが樹種ごとにどう現れるかを見ています。

この壁が実際に守っているもの

この壁が何でないかも、はっきり言っておく価値があります。これは盆栽を高く保つための仕掛けでも、日本の職人技にかけられた見えない関税でも、顔の広い買い手なら交渉で抜けられる試験でもありません。植物防疫所の検査官もEFSAの審査委員も、柑橘類でも切り花でも種子でも行われているのと同じ仕事――誰も見張っていない経路を通じて、ある国の生態系がよその国の病害虫問題を抱え込んでしまわないようにする仕事――をしているにすぎません。盆栽の場合、この仕事の受け止め方が違って見えるのは、果物の木箱と違って、盆栽が何十年も生き続け、育ち続けることを前提にしているからです。だからこそ規制当局は、これほど長い待ち時間を課すことを厭わないのです。

日本の苗場でいまも育っている木を持ちたいと願う人にとって、これは注釈のような話ではありません。目の前にある選択そのものの形です。樹種によっては何年もかかり、最後まで通らないかもしれない手続きに踏み出すか。それとも、その木の気候と土、そしてこれまで積み重ねてきた年月がそのまま活きる場所に木を置いたまま、別の形の関わりを持つか。「木は国境を越えられない」では、この二つ目の道を、木ごとに、そしてそれがどこへたどり着いたかとともに、より詳しく見ています。

参考リンク

  1. 国際植物防疫条約(IPPC)公式サイト「Overview」 — 1951年署名の条約と、現在180か国を超える参加国について。
  2. 植物防疫所(農林水産省)「English Export Guide」 — 生きた植物を日本から輸出する際の申請・検査・植物検疫証明書発行の手続き、および仕向地の条件を確認するよう求める案内について。
  3. EFSA「Commodity risk assessment of black pine (Pinus thunbergii Parl.) bonsai from Japan」 — 黒松盆栽のEU輸入に関する最低2年間の登録苗場栽培、用土消毒、検査頻度、到着後隔離、および関連する19種類の病害虫の評価について。
  4. EPPO Global Database「Bursaphelenchus xylophilus」 — マツノザイセンチュウが日本国内で広く定着し、EU域内では定着地域が限られている状況について。
盆栽検疫輸出植物検疫日本文化