
答えは「できる」です。 日本のごく一部の盆栽園は、外国人の内弟子や短期研修生を受け入れており、その中には何十年も続けている園もあります。ただし、その門は狭いものです。本格的な内弟子修行は5〜6年に及び、それを許すビザは有償労働を認めておらず、日本語はほぼネイティブ並みであることが前提とされ、途中で教えてもらえるものではありません。実際には、日本で盆栽を学びたい人の多くは、何年もかかる内弟子修行からではなく、1週間から数ヶ月ほどの短期コースから始め、その先をどうするかをそこで判断しています。
長い道のりは存在するが、ごくまれ
ごく少数の外国人作家が、日本の盆栽園で何年にも及ぶ本格的な修行を最後までやり遂げています。日本人の弟子と同じ、内弟子(うちでし, "師のもとに住み込んで修行する弟子")という仕組みに、言葉の壁による近道は一切ありません。木村正彦氏のもとで6年間修行したアメリカ人と、大阪の香花園(こうかえん)で6年間修行したもう一人のアメリカ人という、記録が確認できる二つの事例を、姉妹記事「日本で修行する外国人弟子」で紹介しています。どちらも実在の話ですが、同時にきわめて例外的でもあります。最後までやり遂げる人がごく少数だからこそ、記事になるのです。
ビザが許すのは「修行」であって「収入」ではない
長期で日本に滞在する外国人弟子の多くは、「文化活動」という在留資格で入国します。これは、日本の伝統的な技芸を専門家のもとで無報酬で学ぶために設けられた区分です。出入国在留管理庁は、この資格を、日本文化についての研究や、専門家の指導のもとで伝統的な技術を修得する活動を対象とし、報酬を伴わないこと、そして継続の在留期間は最長3年までと説明しています。ここが重要な点です。このビザのもとでの修行は、明確に「仕事」ではありません。弟子は、貯金や家族の支援、あるいは別途許可された範囲でのアルバイトで生活することが前提とされており、修行先の園から賃金を得ることは想定されていません。
多くの人が実際にぶつかる壁
ビザの規定より難しいのは、言葉と年数です。盆栽園の現場は、言葉による説明よりも観察によって動いています。無報酬で弟子を指導する師が、その日の作業を止めてまで通訳のように説明してくれることはまずありません。実際に修行を経験した人たちの証言はおおむね一致しています。日本語の力は修行が始まる前提条件であって、修行の中で身につけていくものではないこと。そして5〜6年という年数は、短縮を目指す目標ではなく、最低限の年数として扱われているということです。この道を本気で検討するなら、ビザの手続きより先に、言葉と年数のほうを見極める必要があります。
本格修行なしでも開く扉
本格的な内弟子修行がこれほど狭き門である分、外国人と関わる園の多くは、もっと短い形の学びの場を用意しています。静岡の泰祥園(たいしょうえん)は、何年もかけてではなく数ヶ月という期間で外国人の学生を受け入れた、日本でも早い時期の園の一つで、ここで学んだ人の中には、その後ヨーロッパで自分のキャリアを築いた作家もいます。日本有数の盆栽の産地として知られる香川県では、地元の生産者団体が公式の技術研修プログラムを運営しており、国籍を問わず参加できるとしたうえで、1日あたりの参加費を定め、海外からの申込者には渡航やビザの手配のために少なくとも2ヶ月前の申し込みを求めています。こうしたプログラムは、一人前の盆栽作家を育てるものではありません。数週間という短い期間で、何年もかかる本格修行の道を自分が本当に歩みたいかどうかを確かめる場になっています。
長い道の先にあるもの
本格的な修行を最後までやり遂げたごく少数の人にとっても、その年数はゴールではないことがほとんどです。姉妹記事でも触れているとおり、外国出身の元弟子の中には、母国に戻って自分の園や教室を開いた人が複数います。技術だけでなく、修行という学び方そのものを持ち帰った形です。それが、この道のりの本当の姿です。日本での何年もの無報酬・住み込みの修行を経て、その先はまったく別の場所でキャリアを築く。そこで使われる判断力は、いまも盆栽園の現場でしか学べないままです。
旅を検討する人に残すもの
だからといって、渡航をためらう理由にはなりません。むしろ、その旅で実際にどの扉が開くのかを、正直に見極める理由になります。香川での1週間や、泰祥園のような園での一季節は、日本の作家のかたわらに立ち、説明される前の一刀を見るという、本物の経験です。海の向こうに住む所有者の代わりに、作家が季節ごとに木の面倒を見るAzukariの現場でも、同じ観察の習慣が受け継がれています。6年間の内弟子生活を志すか、一度だけ訪れて眼を養って帰るか。日本の盆栽修行の扉は、これまで一度も完全に閉じたことはありません。ただ、最後まで通り抜けようとする人には、いつも数週間ではなく年単位の時間を求めてきました。
関連記事として、「日本で修行する外国人弟子」、「年数で測る修行」もあわせてお読みください。
参考リンク
- 出入国在留管理庁「文化活動」の在留資格 — 専門家の指導のもとで日本の伝統的な技芸を無報酬で学ぶことを対象とする在留資格の説明、報酬を伴わないという条件、継続在留期間が最長3年である点について。
- Bonsai Empire「泰祥園(Taishoen)」 — 泰祥園が外国人学生の短期留学を早くから受け入れてきた園の一つであり、そこで学んだ人がヨーロッパでキャリアを築いた例があることについて。
- 高松盆栽「盆栽技術研修」募集ページ — 香川県盆栽振興協議会による公式の研修プログラムの説明。国籍を問わず参加できること、参加費、海外からの申込者に求められる2ヶ月前の申し込みについて。