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水やりは何日おきが正解か

鉢に植えられた真柏の盆栽

決まった日数はありません。毎日でも、三日に一度でもありません。盆栽は土の表面が乾いたときに水を与えるもので、そのタイミングは季節・樹種・鉢によって、夏なら毎日、冬なら数日おきにと変わります。基準になるのはカレンダーではなく、その木そのものです。

「何日おき」という問いが的外れな理由

初めて盆栽を持つ人ほど、決まった数字を知りたがります。ルールが決まっていれば従うだけで済むので、無理もありません。けれど盆栽の土が乾く速さは、気温、風、湿度、根の詰まり具合など、いくつもの条件が重なって決まります。ある一本、ある鉢、ある日にちょうどよかった間隔も、猛暑や寒波が来れば一週間もたたずに合わなくなります。「何日おき」と決めて機械的に水をやる育て手ほど、乾ききらない土のせいで根腐れを起こしたり、逆に間隔をあけすぎて木を乾燥させてしまったりします。

カレンダーではなく土を見る

実際のルールは、日数を数えるより単純で、確認自体は十秒もかかりません。指を土に1センチほど差し込んでみることです。その深さで乾いていれば、鉢底の穴から水が澄んで流れ出るまでたっぷりと与えます。まだひんやりと湿り気を感じるなら、その日は待ちます。見分け方に慣れてくれば、土の表面の色も手早い目安になります。ほとんどの盆栽用土は乾くにつれて色が明るくなるため、朝、土の表面を一目見るだけで、指で確かめるまでもなく分かるようになっていきます。特別な道具は要らず、同じ木を数週間見続けるだけで、この感覚は身についていきます。

頻度を左右する四つの要因

水やりの間隔を左右する要因は、主に次の四つです。

  • 季節。 成長が盛んな春から夏にかけては、根が水を吸い上げる速さも、空気が土を乾かす速さも増すため、多くの盆栽は一日に一回、夏の暑い午後には二回を必要とすることがあります。成長が緩やかになる秋を経て、休眠期の冬に入ると、同じ木でも二日から四日おきで足りることがあります。
  • 樹種。 真柏や松などの針葉樹は、水やりの間に土がある程度乾くことを好み、乾くよりも湿った状態が続くことのほうがむしろ木を傷めることもあります。逆に、多くの紅葉類や、室内で育てる熱帯樹種など水を好む樹種は、土を常に湿らせておく必要があり、乾きも早く訪れるため、水やりの間隔は短くなります。
  • 鉢。 鉢が小さいほど、土の量も水を蓄えておける量も少なくなるため、樹種にかかわらず乾きが早まります。素材も無視できません。素焼き(無釉)の鉢は壁面からも水分が抜けていくため乾きが早く、針葉樹に向いています。釉薬のかかった鉢は水分を長く保つため、湿り気を好む木に向いています。
  • 置き場所と天候。 日当たりと風の強い場所に置かれた木は、日陰で風の当たらない場所に置かれた木より早く乾きます。暑く乾いた一日は、曇りの日に比べて必要な水の量を倍近くまで押し上げることもあり、その日の実際の天候はカレンダーの示す季節よりも優先されます。

目安としての幅、ただし緩やかに

以上をふまえたうえで、多くの育て手が挙げる目安はおおよそ次のとおりです。夏の暑さの中では毎日、時には一日二回。春と秋は一日から二日に一回。成長がほとんど止まる冬は二日から四日に一回。ただし、これらの数字はあくまで「照らし合わせる出発点」であり、盲目的に従うべきルールではありません。季節だけでは分からないことを、指先で確かめる作業が最後に決めます。

カレンダーではなく木を見るということ

これは注意を払う手間を省く近道ではありません。日本の盆栽の世界では、水やりを決まった時間に行う作業というよりも、毎日の様子見として捉えます。鉢の前に立って丁寧に見ていれば、木に起きる変化は、遅かれ早かれ、他のどこよりも先にその場で気づかれるものだと言われます。この習慣と、それを一人前に身につけるまでにはおよそ三年の日々の実践がかかるとされる古い言い伝えについては、姉妹記事盆栽と水やりで詳しく書いています。水やりを忘れてしまった日や、旅行などで水をやれない期間にどうするかは、それぞれ別の問いとして水をあげ忘れたら枯れるのかと旅行中の水やりはどうするのかで扱っています。日本と異なる気候で育てる場合も、同じ種類の判断が求められます。その工夫については気候が違えば育て方も違うをご覧ください。

離れて暮らしていても、この判断が変わるわけではありません。Azukariで預かる木も、この基準にもとづいて、日数ではなくその木の土そのものを見るよう訓練された作家の手で、季節を通じて水やりされます。作業の内容は、記録として持ち主も確認できます。ここに書いた習慣とまったく同じものが、ただ、別の手によって担われているだけです。

参考リンク

  1. Bonsai Empire — "Watering Bonsai; how to water your trees" — 指を約1センチ差し込んで土の湿り気を確かめる方法、決まった日数ではなく状態で判断すること、春夏は水やりが増え秋冬は減ることについて。
  2. Bonsai4Me — "A Guide To Watering Bonsai" — 土の表面の色や見た目の変化で乾き具合を判断する方法、鉢のサイズ・木の勢い・天候が頻度を左右する要因であることについて。
  3. Bonsai Mirai (Ryan Neil) — "Choosing the Perfect Pot for Your Bonsai" — 鉢が小さいほど水やりの頻度が増えること、素焼きの鉢は釉薬をかけた鉢より壁面からの通気・水分交換が起きやすく、針葉樹に向いていることについて。
  4. wabonbiyori — "季節ごとの盆栽の水やり頻度と枯らさないための基礎知識" — 春・秋はおよそ一日に一回、夏は一日二回、冬は三〜四日に一回という季節ごとの目安と、頻度の数字より土を確認することが優先される旨について。
  5. Bonsai Empire(日本語版) — "盆栽の水やり" — 決まった間隔ではなく、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるという基本原則について。
盆栽水やり手入れの基本Azukari