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AZUKARI

夏 水と日差しとの勝負

盆栽用の銅製じょうろ

盆栽用に作られた銅製のじょうろ。夏の間はこれを1日に2回、時にはそれ以上手に取ることになる。どれだけ丁寧に使うかが、木が育つか葉焼けするかを分けることも少なくない。Photo by Tangopaso, public domain, via Wikimedia Commons — Source

真夏の一番厳しい午後には、鉢数の多い生産者ほど、じょうろを持って5〜6往復しないと全部の鉢が持たないと語ります。ある猛暑の記録はさらに具体的な数字を残していて、摂氏38度の環境では、水やりを一度逃しただけで、わずか半日ほどで葉に目に見える傷みが現れたといいます。この事実が、真夏と他の季節を分ける本当の境界線です。春であれば、水やりを一度逃してもしばらく葉がしおれる程度で済みます。真夏の盛りでは、それが数時間のうちに葉そのものを失う結果になり得ます。

夏に盆栽を生かし続けるということは、水やりを1日1回から2回に増やし、葉を葉焼けと乾燥から守り、暑さが増すにつれて遮光と置き場を調整し続け、そして春なら見逃せる1日の遅れが、8月には数時間で目に見える傷みになると心得ることに尽きます。

暑さが本格化すると、水やりは1日2回が基本になる

春や秋なら、朝の涼しいうちに水やりを1回行えば十分なことが多いのに対し、暑さが本格化すると、日本の多くの生産者は1日2回に切り替えます。朝の日差しが強まる前に1回、夕方その日差しが和らいでから1回です。最も暑い日、そして最も小さな鉢では、これが3回に増えることもあり、先に触れたとおり、多くの鉢を抱える生産者の中には真夏の一番厳しい午後に5〜6回の灌水が必要になる人もいます。浅い盆栽鉢は、露地の土のように夏の直射日光を一日中受け止めるだけの土量を持たないため、春に整えたはずの水やりのリズムを、この季節はそのまま強めなければならないのです。

タイミングも回数と同じくらい重要です。直射日光の当たる真昼の水やりは、一般的に避けられます。葉の上に残った水滴が一瞬レンズのように働くことがあり、熱くなった土や葉に落ちた水は、木を冷やすどころか、冷める間もなく熱を帯びてしまうためです。多くの生産者は、夕方にもう一つの習慣を加えます。葉水(はみず、"leaf water"、木全体に軽くシャワーをかけること)です。土だけでなく樹冠全体に水をかけるこの作業は、暑い一日を過ごした葉を冷やすとともに、乾いた夏の空気を好むダニなどの害虫を遠ざける効果もあるとされています。

葉の薄い雑木は、松柏より先に葉焼けする

葉焼け(はやけ、"leaf scorch")は、夏に最も目に見える形で現れる被害です。強い直射日光を受けた葉の組織が茶色く縮れ、時にはそれを助けるはずだった水滴によってかえって悪化することもあります。カエデや欅(けやき)のように葉が薄く柔らかい雑木は、葉が熱をより逃がしやすい松柏に比べて、明らかに葉焼けを起こしやすい傾向があります。多くの生産者は、おおよそ午前10時から午後2時までの時間帯を、避けるべき時間として扱います。脅威なのは一日の暑さそのものというより、その時間帯の直射日光だと考えられているのです。

葉ではなく根に着目したもう一つの対策が、二重鉢(にじゅうばち、"double pot")です。盆栽の鉢そのものを、それより二回りほど大きな鉢の中に入れ、その隙間に土や水、あるいは湿らせた新聞紙などを詰めます。この緩衝層が、内側の鉢の薄い壁を通して根に伝わる夏の熱の速さを和らげ、副次的な効果として土の乾きも遅くします。同じ構造は冬もそのまま残しておけば、今度は逆に寒さを和らげる働きをします。

遮光ネットも置き場も、夏の間は動かし続けることになる

盆栽をどこに置くかは一年を通じて重要ですが、その置き場を最も頻繁に変え続けなければならないのが夏です。遮光ネット、寒冷紗(かんれいしゃ、もともと農業用に使われてきた目の細かい布)は、季節の初めは軽く20〜30%程度の遮光率から始め、暑さが増すにつれて重ねていき、その棚の日当たりや樹種によっては、真夏には30〜70%程度まで高めることが一般的とされています。このネットは、たいてい夕方には一度外され、木々が夜露や涼しい夜気を、一日中布に覆われることなく受けられるようにします。

棚の配置そのものも入れ替わります。小さな鉢は大きな木の陰に寄せられ、鉢同士を近づけて互いの側面を遮り合うようにし、熱い石畳や南向きの壁のそばに置かれていた鉢は移動させます。そうした場所からの照り返しは、せっかく日陰を作っても、その効果を打ち消してしまうことがあるからです。こうした調整はどれも一時的なもので、春に木を置いていたのと同じ棚場に、秋にはまた戻ることがほとんどです。それでも、夏の一番暑い時期は、同じ配置のまま数週間持ちこたえることさえ稀です。

水やりの見逃しは、日ではなく時間の単位で表に出る

夏が他の季節と決定的に違うのは、失敗が姿を現すまでの時間の短さです。猛暑の中で水やりを一度逃した木を追跡した生産者たちは、極端な暑さの下ではわずか半日ほどで目に見える葉の傷みが現れたと語っています。日なたに放置され土が乾いた浅い鉢は、次の水やりの予定時刻を待たずに、健康な状態からしおれた状態へと変わってしまうこともあります。春や秋であれば、問題に気づいてから翌日に手当てする余裕がたいてい残っています。夏の盛りには、その余裕はほとんど残されていません。

判断の物差しにすべきなのは、暦の上でいまが何月かではなく、木を放っておける時間が何時間残っているかです。真夏の盛りには、その残り時間が半日にも満たないところまで縮みます。そう捉え直すと、水やりの予定表はただの習慣ではなく、期限そのものに変わります。1日2回という決まったリズムが、他のどの季節にも増して重みを持つのは、この縮まった猶予のためです。

暦より、そこにいる人の存在がものを言う季節

夏の仕事は、どれも単体では難しいものではありません。じょうろに水を満たし、棚を見て回り、遮光ネットの留め具を外す。それだけのことです。この季節が厳しいのは、そのどれも省くことができず、しかも省いた代償が4月や11月よりはるかに大きいという点にあります。日本の夏を通して丁寧に手入れされ、1日2回の水やりを例外なく続け、葉焼けや乾いた鉢を危機になる前に見つけられるだけ注意深く見守られた木は、その地味な規律を、秋の仕事がその後さらに形にしていく、密で健やかな成長へとつなげていきます。

Azukariという仕組みは、まさにこの隙間を埋めるためにあります。地球の反対側から見守る持ち主に、7月のじょうろを1日2回持つことはできません。それを日本にいる作家が代わりに引き受け、持ち主のもとに届くのは、その人が真夏の一番厳しい数週間、実際にそこにいたからこそ残った季節の記録です。

参考リンク

  1. Bonsai Empire「Caring for a Bonsai during a Heatwave」 — 午前遅めの時間帯での水やり、木と周囲を冷やすための葉水、遮光の工夫、葉色の褪せや枝先の枯れ込みといった暑さストレスの兆候について。
  2. Bonsai Tonight「How to care for bonsai during heat waves」 — 極端な暑さの日には1日2〜3回の水やりに加えて葉水を行うこと、遮光ネットの配置、摂氏38度(華氏101度)の環境で半日ほどで葉の傷みが現れたという生産者の記録について。
  3. Miyagi Bonsai「Do Bonsai Need Shade in Summer?」 — 遮光ネットの遮光率の目安と、松柏と葉の薄い雑木(カエデなど)との日照耐性の違いについて。
  4. 盆栽なび「夏場の盆栽のお手入れで気を付けたいこと」 — 午前10時から午後2時前後の直射日光を避けること、根を保護する二重鉢の構造と目的、遮光ネットの使い方について。
  5. キミのミニ盆栽びより「盆栽の夏の管理」 — 水やりの回数が1日2〜3回、真夏には5〜6回に増えること、遮光ネットの遮光率を20〜30%から50〜70%へと段階的に高めていくことについて。
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